実家が空き家になってしまったら~不動産売却は大変

実家不動産

  

 実家が空き家になってしまったら。今や空き家は、大きな社会問題になっています。いざ売却するといっても、不動産の売却は時間や手間がかかります。人口が減少している時代ですから、好条件のエリアならともかく、売却しようにもなかなか売却できないという家がますます増えていくことは想像に難くありません。

不動産の査定価格は最終価格ではない

 さて、いざ家を売却しようとしたときに、最初に行う手続きは価格査定です。いったいいくら位で売れるのか。建物は残した方がいいのか。更地にするのか。査定に関しては、価格査定マニュアルというものがあり、ある程度体系化された方法があります。しかし不動産は、高額な上に同じものが2つとない特殊な商品です。例えば土地の価格については、一物四価といわれ、4つの異なる価格指標があります。言ってしまえば、価格はあってないようなものです。最終的な価格は需要と供給のバランスによって決まるのです。

 最近、ネット上では不動産の一括査定なるものをよく見かけます。複数の不動産会社の査定価格が表示され、最高額、最低額が分かる仕組みになっているようです。私は使ったことがありませんので詳しいことは分かりませんが、もしも車の買取り査定と同じような仕組みであれば、個人情報を入力したとたんにどんどん電話がかかってきて、大変なことになるのではないかと思い、試しに、ということも躊躇してしまいます。

 不動産の価格査定で最も気をつけなくてはならないこと。それは、不動産会社の買取り査定でなければ、買うのはその会社ではないということです。仲介における査定価格は、最終的には下がる可能性が十分にあります。査定された価格で売出しをかけたとしても売れなければ価格を下げるということになります。例えば、最高値の業者に仲介をお願いしたとしても最終的には他の業者と変わらなかったり、場合によっては下がってしまったりというケースも考えられます。

不動産業者は両手を狙う

 両手、片手という言葉をご存じですか。不動産売買の仲介手数料は、売主側と買主側双方から受け取ることが可能です。両方の手数料を受け取ることを「両手」、片方の手数料を受け取ることを「片手」といいます。したがって売却物件の仲介(媒介)を契約した業者は、買主を自分で見つけることによって倍の手数料を受け取ることができるのです。

 そうなると、売主側の業者の中には預かった売却物件を他社に大きく広告せず、あるいはすでに購入希望者が決まっていますというようなことを言って、自社で囲い込むようなことが起こりえます。それでは、売却の機会が大きく減ってしまい、売主にとっては好ましくない状況が生まれます。この行為は、一般に「囲い込み」と呼ばれる違反行為です。

 もともとなるべく高く売却したいと考える売主となるべく安く購入したいと考える買主の双方の仲介を行うことは、利益相反になる可能性があります。もちろん双方にとってウインウインの取引になることもあると思います。いずれにしても、不動産仲介はどちらか一方の側に立って行うことが基本だと考えます。海外では不動産エージェントが双方の仲介を行うことを禁じている国(例えばアメリカ)も結構あります。

不動産売却の際に気を付けたいこと

 不動産売却を行う際の売主の考えは大きく2つに分かれると思います。

 1つは、他の人(例えば近所の人)に家が売りに出されていることを知られずに、なるべく秘密裏に売却したいという考え。もう一つはとにかく広く告知して売却を急ぎたいという考えです。

 秘密裏に売却したい人は、多くの潜在顧客を抱えている大手不動産会社に依頼した方がいいのかもしれません。逆にとにかく早く売却したい、あるいはいつまで経っても売却できないという人は、売主側の立場で取引を進めてくれる不動産エージェントのような人に依頼した方がいいと思います。小さな不動産会社の信頼できる社長さんなどもその一人と考えていいと思います。両手取引を狙わず売主のメリットを最大限に考えてくれる人、そういう人に依頼するのが最適です。

 さて、不動産を売却する際の広告活動について考えてみましょう。ほとんどの場合が物件広告をつくり、写真とともに物件ポータルサイトや自社HPに掲載するというものです。

 その方法では、本来持つ物件の特長をアピールできずに埋もれてしまって、売却できない状態になっているものも少なくないと思われます。

 売却するために、その物件のもつ特長を多角的視点で掘り下げ、ターゲットを絞ったユニークな提案をする、そんな仕事をするエージェントがいれば、早期売却につながる可能性が広がります。そのためには、そうしたノウハウを持つエージェントの存在が必要です。建築士の資格を併せ持つ宅建士はその一人になりえるのではないかと考えます。

  

  

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